「腰痛奇談(仮)」
(注)内容に関しては読みやすくするため多少の脚色はありますが、ほぼ事実に基づいています。
また当方は医者ではないため、医療行為に関する部分は患者としての私見であることをお断りしておきます。
2012年末、母が歩行困難となり入院した。
素人の見立てなので詳細は避けるが、原因は数年前から通院している心療内科で処方された抗精神薬・睡眠導入剤等の飲み過ぎによる副作用だと思う。
父は私が19歳の時に他界している。
元々夫婦仲も親子仲も芳しいものではなく、常に逃げ出したいと思っていた私は大学入学を機に静岡の実家を出た、その年の秋に逝ってしまった。
それから30年以上、年に数回の帰省を除き、母は一人で暮らしてきた。
他に姉もいるが、この母娘は犬と猿もビビるほど仲が悪い。
親戚の手も借りながら、手続きは私一人でやらざるを得なかった。
主治医に薬を抜くよう念押しして一度は快方に向かい退院した母だが、結局薬を止められず2ヶ月足らずで翌年5月に再入院。
そして実家近くの有料老人ホーム入所を勧められ7月に入所したものの、気に入らずゴネにゴネたあげく1年もしないうちに他のホームに転居した。
この間、仕事が多忙なときを除き毎月々々帰省を繰り返す中、2013年春先、左首から肩に痛みが走った。
最初は疲れからくる寝違えかと思っていた。
しかし日を追う毎に痛みは増し、一週間程度でついに左肩が回らなくなった。
前に90度程度はOKだが、それ以外は後ろにも上にも動かせない。
うっかり動かそうものなら激痛が走り、声も上げられない。
これが世に名だたる五十肩か!
話には聞いていたがこれほど酷いものなのか?
軽い書類すら持ち上げることができない。
往来ですれ違いざまにポンッと肩が当たっただけで唸り声を上げてうずくまってしまうことさえあった。
その上左半身、特に腰から足にかけて痺れが走るようになった。
元々デスクワークのため肩こり・腰痛は持病のようなものだったが、今回はちょっと様子が違う。
肩は熱を持ったように痛み、背中は突っ張り、腰から足へ通電したように痺れる。
脳の血管でも切れているんじゃないだろうか?
早速あれこれネットや口コミで評判の良さそうな整形外科を探し始めた。
まさかこれが迷走の旅の始まりとは思ってもみなかった。
痛みはもちろんだが、何より痺れが気になる。
となるとMRI設備のある総合病院ということになる。
選択肢はさほど多くなく、候補に挙がったのはS国際病院。
整形外科としては有名で、もちろんMRI設備もあるし管理人の住む深川からも近い。
健康保険証を握りしめ、カウンターで「MRI検査をして欲しいのだが。」と申し出た。
いきなりMRIといわれて驚いたのか、受付の女性は「ど、ど、どのような症状ですか?い、い、いつからですか?」とあわてたように聞いてきた。
症状を告げると納得したように「まず内科を受診して下さい。」と冷静に告げた。
首をかしげながらも言われるままに内科を受診。
座って腕を上げ下ろし、横になって足を上げ下ろし、「うん、脳からは問題ないな。じゃ、整形外科に回って。」
ここまで午前中を費やしたが、まだまだ序章でしかなかった。
整形外科で順番待ちをすることおよそ3時間。
昼食も取らずにレントゲンを撮り、ようやく順番が回ってきた。
しかし、椎間板ヘルニアも脊柱管狭窄も特に所見は見られず、肩関節も特に問題はない。
その後、結局腕と足の上げ下ろし。
「じゃぁ痛み止め出しとくから。痺れは軽い血行障害かもしれないんで、ビタミン剤出しとくね。」という医者に「あのぅ、MRIは?」と食い下がると、「ま、
薬が効かないようなら考えましょ。」と、“四十肩・五十肩体操”とかいうパンフレットを渡されて診察終了。
後に知るのだが、このときの医者は腰痛関連では結構な権威のセンセイであった。
時刻は16時を過ぎ、結局丸一日かけて何ともあっけなくロキソニンとビタミン剤(アリナミンかな?)を処方してもらってあっさりと帰ってきた。
これで効いてくれれば何の問題もなかったのだが・・・。
さて薬を飲み始めたが、1週間経っても2週間経っても痛みも痺れも退いていかない。
それどころか肩の痛みは更に増し、夜中に寝返りを打っては飛び起きるようになってきた。
薬が切れる頃、再びS国際病院へ。
保険証を提示し「同じ先生に・・・。」と希望したところ、「その先生は予約が一月先まで埋まっています。」とのこと。
前回予約の話はなかったんだが・・・と思いながら、如何に名医とはいえ一月待てるわけもなく他の医者に診察してもらうことにした。
前回は初老の、権威という割に物腰の柔らかい医者だったが、今度は若く、テキパキと、というより威圧的な物言いをする医者だった。
前回撮ったレントゲンを見て、「どうっすか?」と聞いてくる。
「痛みが治まりません。薬も効かないようです。」というと、「肩関節は動かさないと治らないから。じゃ薬出しとく。」と診察を打ち切ろうとする。
「いや、その薬が効かないんだけど・・・。」と反論すると、明らかにイラだった様子で、「じゃ肩と腰、どっちが日常生活に不便?」とたたみかけてくる。
「どちらかというと肩かなぁ・・・。」と答えると、間髪入れずに「肩にブロック注射打ちましょう。」と、あれよあれよという間に肩関節に注射。
ブロック注射の何たるかの説明もほとんどなかった。
「一月くらいは効いてるから、後は住んでる所の近くのリハビリ施設のある整形外科に行って。」と言う。
「いや、そんな急に言われても・・・そんなところ知らないし・・・。」ともごもごしていると、更にイライラとした様子で「宛先無しの紹介状出しとく。もうこ
“もうやることがない”・・・あっけにとられて診察室を出る前に、そのセンセイは席を立ってしまった。
帰路、徐々に我に返るとともにワラワラと怒りが沸いてきた。
所詮そんな程度の症例かもしれないが、患者が苦しんでいるのに“やることがない”とは何という暴言!
もっと言い方ってあるだろ!
悔しくて悔しくて、涙が出そうだった。
処方されたロキソニンはもう飲まなかった。
ブロック注射は、確かに一月きっちり効いていた。
繁忙期でもありこれは助かったが、仕事が一段落する前に再び痛みが襲ってきた。
腰の痺れも相変わらずだ。
苦しみながら何とか仕事をこなし、母の老人ホーム入所と併せて引っ越しを敢行した。
元々深川のマンションは住人同士の諍いが激しく、悪口・罵詈雑言、恫喝と嫌がらせで、何人もの住人が出て行ってしまうような
レスを感じるようになっていた。
この上母の介護で更なるストレスを抱えたら、肩だの腰だの言う前に倒れてしまう。
引っ越し先は二子玉川。
なるべく深川から離れたいと言う意識もあったが、それ以上に多摩川を渡ると新設の介護施設がいくつもできている、さながら介護タウンだ。
最悪、母がどうにもならなくなったら、こちらに呼ぶのに施設に近い方が都合がいい。
引っ越しで力仕事をしたためか、肩の痛みは更に増し、腰の痺れは疼痛へと変化していた。
疼痛・・・痛みというより腰の奥がジンジンとする、痒みにも似た得も言われぬ嫌な感覚。
イヤな予感がする。
とりあえず近所の、一応リハビリ施設の整っている整形外科に駆け込んだ。
2~3の問診の後レントゲン撮影を指示されたので、「いや、もうレントゲンは撮ったんですけど・・・。」と言うと、「まぁ、それでももう一度撮って下さい。」
結果は当たり前だが異常なし。
診察室の裏側のリハビリ部屋で赤外線を当て、パルス電流を流し、処方箋を渡されて終了。
薬はまたロキソニンだった。
季節は知らぬ間に冬。
2013年は、母の入退院、施設の入所に移転、自分の引っ越しと、介護施設の内覧巡りでドタバタの中過ぎてしまった。
その上現状が受け入れられない母は、あちこち有ること無いこと言いふらし、その度田舎に帰っては施設長やら親戚やらご近所や
人見知りの私は、普段会わない親戚や知らない人に詫びるという行為は苦痛でしかない。
ストレスはMAXに達していた。
2015.10.17
さて年末近くになり、忘年会のシーズンとなった。
あまりつきあいの良い方ではないが、それでも毎年数件のお誘いが入る。
多少景気が好転したせいか、2013年はやや数が多かった。
肩も腰もおもわしい状態ではないが、やはり五十肩程度で断っていては角が立つ。
肩や腰の痛みを話のネタに、さして強くもないアルコールを飲む内に、当然だが胃がしくしくと重くなってきた。
ちょうどこの時期、五十肩の治療についてネットで検索していたところ、ガスター10が五十肩に効くという情報が入ってきた。
五十肩の原因とされるものの一つに“石灰沈着性腱板炎”がある。
文字通り肩関節の腱板という組織に、石灰が付着して炎症が起こるというもの。
この症状にH2ブロッカーが有効で、レントゲンで石灰化が確認されるとタガメットというH2ブロッカー含有の薬を処方する整形外科もあるらしい。
何故効くのかよくわかっておらず「適応外使用」という形になるため、処方に慎重になる医者もおり、まして何ともないと診断された私には出してもらえるはずもない。
まぁ、どうせ飲む胃薬。ネットの噂に騙されてみるか・・・という軽い気持ちで12錠1500円程度のガスター10を飲み始めて3日目、肩の痛みが引いてきた。
そんな馬鹿な!?と思いつつ、朝晩2錠ずつ6日間飲み終わった頃に肩の痛みは激減していた。
やや痛みは残るが、後ろにも上にも腕が回る。
狐につままれたような気持ちでもう一箱。
都合12日間の服用で、五十肩はウソのようにあらかた治ってしまった。
ついでと言っては何だが、もちろん胃痛も治っていた。
これで明るい新年を迎えられるはず・・・だったのだが・・・。
肩の痛みが引いたことが嬉しくて嬉しくて、H2ブロッカーの効用を吹聴して回ったが、あまりまともに取り合ってくれる人はいなかった。
これも人徳だろう。
しかしこれで全て解決とは行かなかった。
肩の痛みが引くのと反比例するように腰の様子がおかしくなってきた。
前述のように痺れから疼痛に変化した腰は、やっかいなことに立っているときや座っているときはさほどでもなく、横になると響くようにジンジンとした感覚が襲ってくる。
イライラして長時間寝ていられない。
一時間毎に起き上がり、腰を叩き、また横になる・・・そんなことを繰り返し、不思議なことに午前4時くらいになるとスッと眠りに落ちる。
何日も何日もそんなことを続けている内に、朝起きることができなくなった。
自営業の利点を最大限生かし、午前中の仕事はなるべく入れず寝られるだけ寝るようにしたが、それでも昼まで寝ているわけにはいかないし、そもそも寝られない。
2014年初春、明らかに睡眠不足に陥っていた。
何とかしなければと思ったが、直接整形外科に行ってもありきたりな診察とロキソニンで跳ね返されてしまう。
今度は少し小手先を変えてみた。
学生の頃より腎臓に結石ができる体質で、現在でも何年か毎に石が落ちてくる。
落ちる際には激痛のときもあれば、ず~んとした重みのときもあるが、腰痛に変わりはない。
結石と言えばCT撮影だ。
近所の泌尿器科を探し、CT設備はなかったが「腰が痛い、石ができたようだ。」と診察を受けた。
エコー検査をすると確かに腎臓内に結石ができているが、場所的に痛みとは関係なさそうだという所見だった。
そこで事情を話し、CTを撮ってくれるところを紹介して頂くよう頼んでみた。
先生は二つ返事でT川病院に紹介状を書いてくれた、その足でT川病院へ直行した。
T川病院は山の上にあった。
泌尿器科の紹介なので、当然ながら泌尿器科で受診。
こちらも問診の後事情を話したところ、笑いながら整形外科に回してくれた。
朝から2件の受診で既に2時を回っていた。
整形外科の待合で待つこと1時間強。
出てきた医者は、学生か?と思うようなかわいらしいお嬢さんだった。
差別をする気はないが、明らかに頼りない。
お嬢さん先生は「じゃあ、まずレントゲンを・・・。」と言った。
「さすがに3回目ですよ。」と言うと、「ウチでは初めてですから。」という答えが返ってきた。
そろそろ希望に陰りが見えてきていたが、病院では医者の言うことが全てだ。
こんなに放射線浴びて大丈夫か?と思いながらレントゲン撮影。
結果は言うまでもない。
先生はニッコリ笑い、「何ともありませんね。」と言った。
だから言ったじゃないか・・・という言葉は飲み込み、「CT撮ってくれませんか?」と頼んでみたが「この所見ではCT撮影はできません。」と言われた。
「では、ロキソニンを処方して・・・。」言い終わらないうちに「ロキソニンは効きません!」と遮った。
言い方が荒かったのか先生はビックリしたようだったが、新書サイズの薬の本をペラペラとめくり、「でもこういうときはロキソニンですし・・・。」と小さい声で言った。
脱力感の中、既に暮れかかる山道を家路についた。
飲まないロキソニンは3袋になった。
2015.11.3
腰の痛みは既に疼痛とは言えない程度になっていた。
ジンジンから発展し、ギリギリと言えばいいのかミシミシと言えばいいのか、もはや激痛と言ってもいいほどの感覚が、寝ようとすると襲ってくる。
眠くて眠くてフラフラしながら、それでも一時間毎にベッドから起き上がる。
意識が朦朧としているので倒れそうで危ないことこの上ない。
何とかしなくては・・・と眠い頭で思いを巡らし、フッと気がついた。
実は先の腎臓結石の他に、偏頭痛も煩っている。
今でもときどき通うA葉原の頭痛外来で、もう10年近く前になるが、初診のとき頭部のMRIを撮ってもらったことを思い出した。
藁を持つかむ気持ちでA葉原のA葉原駅クリニックに向かい、事情を話したところ、こちらも二つ返事で腰部MRI撮影の処方を書いてくれた。
撮影自体はメディカルスキャニングという画像検査・診断専門クリニックで行った。
これで何か出るか?とイヤでも期待は高まった。
MRI撮影は、経験した方はわかると思うが、せま~い筒状の機械の中で横になり行われる。
音楽の流れるヘッドフォンをして20分ほど入るのだが、ゴーッというものすごい音にかき消されて、閉所恐怖症の人は途中でギブアップする人もいる。
だが私は説明を受けて筒の中に入ったとたん、落ちた。
よほど眠かったのか、「ハイ、終了です。」という声に呼び起こされたが、半分寝たままで床に崩れてしまった。
驚いたスタッフがすっ飛んできたが、「眠いだけです、大丈夫です。」と言うと大笑いしていた。
3回のレントゲンの後、ようやく辿り着いたMRI。
しかし、結果はシロだった。
結果を持ってA葉原駅クリニックに戻ると、先生は腰痛治療で有名な病院に紹介状を書いてくれた。
病院の名前はT川病院・・・だった。
紹介状の宛名はT川病院でも腰痛治療の権威と言われる医者だ。
せっかくの紹介状を無駄にするのももったいない。
ホームページで宛先の医者の診療日を見て、ついでに先のお嬢ちゃんセンセイの診察日が重なっていないことを確認し、再びT川病院に向かった。
受付に紹介状を出すと、「その先生は予約が一月先まで埋まっています。」
デジャヴか?・・・と思ったが、もう既にあまり期待していなかった私は、他の医者に看てもらうことにした。
今度の医者は中年の男性だった。
これまでの経緯をざっくり話し、今度は最初からロキソニンならいらないと伝えた。
先生は持参したMRI画像を見てのんびりと、「まぁ、痛み止めで抑えていくしかないんだよねぇ。」と言った。
「もう何でもいいです。このままじゃ気が狂いそうだ。」と吐き捨てた。
睡眠不足でイライラしてもいたが、この時期、本当に気が変になりそうだった。
たぶん目に涙が浮かんでいたかもしれない。
医者に言わせれば“たかが腰痛程度”かもしれないが、そこまで追い込まれていた。
同情してくれたのか、医者はやや神妙に「薬を変えながら様子を見ていきましょう。」と言った。
最初の薬はミオナール・・・効かない。
そしてセレコックス・・・これが、効いた。
服用して3日目くらいから痛みが引き始め、処方された1週間分を飲み終わる頃、ほぼ痛みはなくなっていた。
医者は「良かったね。」と言いながらも、その顔には“ほ~らね”と書いてあった。
不眠からの解放。
ようやく訪れた心安らぐ日々。
しかし何回か処方を重ねた後、さてこれからどうするかという問題が持ち上がってきた。
いつまでもセレコックスを飲み続けるわけにもいかないし、何よりこの薬は胃に負担がかかる。
もちろん胃薬も同時に処方されるが、それでもかなり胃が重くなる。
医者は「どうする?もう少し続ける?」と、あくまで他人事のような物言いをする。
またあの痛みが蘇るのか・・・という恐怖感が先に立ち、止める決断がつかない。
相談の上、少しずつ減らしていくことにした。
朝晩服用を夜寝る前だけにして、次は1日おきにして、1月ほどかけて恐る恐る止めてみたところ・・・再発・・・した。
あわてて再度セレコックスを処方してもらったが、もう痛みが引くことはなかった。
では次の薬を試してみるか・・・とも思ったが、所詮、薬は痛みを抑えるだけで根治してはくれない。
再び眠れなくなったのは憂鬱だったが、完全に治す方法を模索することにして薬探しの、そして整形外科巡りの旅を終えた。
年は移ろい、既に2015年。
痛む腰を押さえ、腹を据えて腰痛に立ち向かう覚悟を胸に見上げた春の空だった。
五十肩や腰痛治療は医療に限ったものではない。
どの整形外科でもアドバイスされたが、痛む部位を動かすことで快方に向かったり予防になったりすることはよく知られている。
自宅の近くにもスポーツ・ジムや整体院が多々あるが、地域柄かどこもオシャレだ。
とても行きづらい。
そんなときにたまたま知り合いがヨガのインストラクターをやっていることがわかった。
ヨガ・スタジオやヨガ道場のような何人も集まってやる所はどうも抵抗があるので、プライベート・レッスンをお願いして、整形外科巡りと平行して2013年暮れからヨガ
一口にヨガといっても何種類もある。
サクッと検索しただけで、ハタヨガ、アイアンガーヨガ、パワーヨガ等々、様々なヨガの解説がヒットするが、正直よくわからない。
レッスンを頼んだインストラクターは、沖ヨガの流れを汲むそうだ。
沖ヨガとは、日本におけるヨガの草分け的指導者である沖正弘師が、古典的なインドヨガに東西のあらゆる宗教や修行法、日本の伝統文化、武道、東洋医学、民間療法な
どを組み合わせて体系化したヨガで、心、身、食、息、生活、環境のすべてを改善し、心身のバランスを回復し、自己能力を開発するヨガ(NPO法人沖ヨガ協会より)
やっぱりよくわからない。
ま、要は肩と腰が治れば何ヨガでも問題はない。
その辺を念押しして、レッスンをスタート。
最初は身体の様子を見るということで、テレビでも見かける簡単なポーズから入ったが、思いの外堅くなった身体は思うように動かない。
こんな程度と思うようなポーズも、支えきれずにゴロリと転がってしまう。
まして肩や腰が痛い状態では捻る方向が限られて、30分ほどでヘトヘトになってしまう。
鈍った身体に情けなくなりながら、これで治るならと続けてみることにした。
レッスン時だけでなく、自宅でも毎日々々「イテテテテ・・・」と唸りながら続ける内に、そこそこ“らしい”ポーズが取れるようになってきたが、肩も腰も一向によく
ならない。
1月ほど過ぎた頃、体幹を鍛えたいというインストラクターの意向に従って、公園に出向くようになった。
そこで何をするのかというと、ジョギングを初めとする筋トレである。
筋トレ???
ヨガの優雅なイメージとはちょっとかけ離れるような気もするが、先にも述べたようにヨガにも色々あり、ほぼスポーツをするようなヨガもある。
つまりこのインストラクター君、若い上に元スポーツ選手だけあって、ゆったり系というよりは鍛える系に傾いているのだ。
筋肉を付けて体幹を鍛えることにより肩や腰の痛みを軽減させる・・・という趣旨に全面的に賛同したわけではないが、とりあえず付いていくことにした。
公園という衆目の中、溌剌とした若者の後を50過ぎのおっさんがゼイゼイ息を切らせてついていく様は、さぞ異様に移ったことだろう。
更にインストラクターは、呼吸法と称して「あ~~~」とか「う~~~」とか声を出して息をさせる。
他人の目がない部屋の中ならともかく、昼間、人がいる場でこれはさすがに恥ずい。
もちろん3時間ほどのレッスンの中でヨガのポーズもするが、それもビンヤサと言われる運動量の多いヨガに移行。
さながら何やらおかしな団体の訓練の様相を呈していった。
年末になり、五十肩は治ってしまったが、ガスター10の件はインストラクター君には告げなかった。
かわって悪化した腰痛に対して、更に筋トレのようなヨガが続く。
筋トレ自体が悪いものではないが、腰痛には筋トレは逆効果という説もある。
「腰を伸ばしましょう。」と思いっきり前屈させるが、これが腰痛にいいとはどうも思えない。
そもそも痛みが続いている=慢性的に炎症を起こしているところに負荷をかけ、鍛えて治るとは考えにくい。
傷口に塩を塗るとか、痣ができた所をぶっ叩くとか、ちょっとそんな感じに似ていないだろうか?
2014年を過ぎ2015年半ばにさしかかる頃、“ゆるめる”というキーワードが情報として入ってきたこともあり、遠回しにやんわり話をしてみた。
インストラクター君は頭では理解しても、長年の経験やそれまで学んできたことをおいそれとは切り替えがきかないようで、程度はやや軽くなったものの相変わらず筋トレ
そこでレッスンでは指示に従いつつ、自宅での動きは比較的緩やかで優しいものに変えていった。
さて足かけ3年にわたるレッスンで、ヨガの何たるかが少しわかってきたような気がする。
要はストレッチに呼吸を合わせたものではないか?
イヌのポーズ、ネコのポーズ、木のポーズ、コブラのポーズ等々、身体の各部位にストレッチをかけ、そのまま深呼吸することで更にストレッチを深くする。
そして最後にシャバーサナー(屍のポーズ!)という、横たわって四肢を伸ばすポーズで休息し、緊張した筋肉を緩めることになる。
もちろん表面的で浅い理解であることは認める。
ヨガには更に、太陽礼拝がなんたらチャクラがどうたらといった精神世界的要素が含まれている。
所謂スピリチュアルで不思議な世界・・・苦手だ。
いや、幽霊やUFOの話は大好きだ。
新倉イワオ氏や矢追純一氏の番組には心を躍らせたし、いつか稲川淳二氏の「怪談ナイト」にも行ってみたい。
つまりエンターテイメントとしての「あなたの知らない世界」は楽しめるが、実生活に入り込んでくるとちょっと迷惑かも・・・と思うのだ。
ましてレッスンしながらインストラクター君から出てくる話は、ヨガの精神性とはやや異なり、どちらかというと自己啓発・自分探しといった所謂ニューエイジ系の臭いが
どうやら現在流行っている、このニューエイジ系ヨガはアメリカから輸入されたもので、元祖インドヨガとは趣が違うようだ。
大事件を起こした某宗教団体が元はヨガ道場だったことも含めて、あまり近づきたくない「わたしの知らない世界」だ。
何度も言うように筋トレやストレッチ自体が悪いものではない。
運動不足の中年にはむしろ必要なんだろう。
しかし元々五十肩や腰痛の緩和のために始めたのであり、痛みは相変わらず退かないし、“ゆるめる”というきっかけが掴めたとなると、やはりやや気持ちは離れていく。
結果、現在も継続してはいるものの、たまの運動くらいのつもりで、毎週々々のレッスンから少~しずつペースダウンしていった。
2016.02.14
ネットの時代と言われて久しく、いまや“無い情報は無い”と言われるほどweb上には情報が溢れている。
実際、病院やヨガ・ストレッチの情報もwebから仕入れたものが多い。
そして無秩序に撒き散らされるwebの情報とは別に、読み手がいるのかも分からない私のブログからも興味深い情報がもたらされた。
人見知りで社交性に乏しい私にとって、珍しく長々とお付き合い頂いているSコポンから紹介された一冊の本。
その名も「腰痛放浪記 椅子がこわい」(夏樹静子著)。
ミステリー作家として名高い夏樹静子氏が約3年に渡り煩った腰痛との闘病記で、自殺が頭をよぎる程の激痛に見舞われ、やはり整形外科を巡り筋トレ他の治療法を何種類
も試し、最終的に心身症と診断され、熱海の病院に入院し絶食治療を経て回復したという内容である。
詳細は著作を読んで頂くとして、重要なのは腰痛の原因が心身症=心因性というところだ。
先の偏頭痛治療の際も、脳の誤作動により痛みを過剰に知覚しているとのことで、向精神薬を少量服用して回復した経験がある。
この腰痛が心因性でも何の不思議も無い。
ちょうど痛み止めが効いていた時期でもあり、母の入院~施設入所のプロセスを鑑みても、心療内科や精神科へ意識が向くことはなかったが、痛みが形質的要因ではなく心
「腰痛放浪記」以外でも、購入したネット販売のサイトで腰痛=心因性を謳った書籍が山のようにヒットする。
その中でもとりわけ評判なのが「サーノ博士のヒーリング・バックペイン―腰痛・肩こりの原因と治療」(ジョン・E・
サーノ著)である。
概略はやはり腰痛が心因性であるとするものであり、たぶん腰痛=心因性を謳った、ごく初期の書籍ではなかろうか?
大きな特色はその根本原因が“怒り”にあるというところ。
無意識下の抑圧された怒りが何らかのきっかけで再浮上してきたとき、その不快な感情から意識をそらせるために身体に痛みをおこさせるという。
それ故、自らその怒りに目を向け、自覚するだけで腰痛が治るという説法のような話。
曰く「読むだけで腰痛が治る」とな。
もう少し論理的に言うと、サーノ博士が提唱しているのはTMS理論(緊張性筋炎症候群)というもの。
痛みの直接的原因は血流不足によって起こる酸素欠乏にあり、その要因が怒りを代表とする無意識下の不快な感情に対する生体防御反応であると。
簡単に言うと、腹ン中煮えくり返っているくせに外面良くしてると、そのギャップで身体が悲鳴あげるぞ・・・というところか?
そういえばここのところ母の介護問題で怒ってばかりいるなぁ・・・と自覚がないわけではなかったのだが、自覚したところで既に再発していた腰痛が軽減するわけでもない
。
「腰痛放浪記」のような闘病記ではなく、実用書ということに起因するのかもしれないが、どこか突き放したような内容と、読者から寄せられる多数の感謝のお手紙を読まさ
れると「ホンマかいな?」という疑念が湧いてくる。
そもそもこの本の内容、ニワトリが先かタマゴが先か的な矛盾もあるような・・・?
やはり痛みが発生するには、怒りから血流不足・酸素欠乏が発生する根本的な何かがあるのではないだろうか?
サーノ博士のTMS理論をもう少し発展させたような「腰痛は脳の勘違いだった」(戸澤洋二著)という本も読んでみた。
この著者はやはり原因のはっきりしない腰痛から何件もの整形外科を巡り、整体・鍼灸といった代替治療を何種類も試したものの、治癒するどころか歩けないほどの痛みを抱
え、試行錯誤の結果快方に向かった経験をされた方で、ご本人曰く「医者でもサイコセラピストでもない」勤め人の、いわゆる闘病記となっている。
“発展させた”というのは、サーノ博士のように“自覚すれば治る”という段階を超え、何らかの要因で痛みが長引き、脳が誤作動して一旦痛みのループを作ってしまうと、
このループを断ち切らない限り痛みは押さえられないという点だ。
つまりサーノ博士の言う“不快な感情”を取り去っても、脳が誤作動して勝手に痛みを感じる状態(慢性化)になってしまうとTMS理論では軽減こそすれ完治せず、この著者
の場合はブロック注射で痛みを抑え、更に抗うつ剤・抗不安剤といった薬の服用と認知行動療法により脳をリセットさせるという方法で治していった、といったことが記され
ている。
いわば「腰痛放浪記」と「ヒーリング・バックペイン」を足したような内容というところだろうか?
ただ痛みの伝達回路を「I型」「J型」「U型」と名付けていかにもな説明をしているが、あくまで著者本人の思い込みによる定義づけでしかないし、そのループするそも
そもの痛みが何に起因するのかは結局不明のまま。
またブロック注射や投薬の詳細な描写に対して、たぶん最も肝心な認知行動療法の記述については、あまりにザックリとしている。
「痛みを無視する訓練」として“腰部に構造的異常はない。痛む理由も原因もない。”と呪文のように自らの脳に言い聞かせ、痛みがきても“無視”し、「良くなったイメー
ジを持つ訓練」として“就寝前や休憩時に趣味を楽しむ姿を”、通勤途中に“楽しい家庭に戻る光景を”イメージする。
認知行動療法ってこんなもんなの?
サーノ博士の「怒りを自覚すれば腰痛が治る」と何処が違うの?
これって「病は気から・・・」って話じゃあないの?
もちろん闘病記としては「腰痛放浪記」並に面白いし、7年に渡る苦しみと様々な治療行為は、私と似たような過程を歩みながらも、比べようもないほど濃密で論理的で詳
細で、参考になることこの上ない。
腰痛のループを脳が作り出すというところは“なるほど”と思うところはあるにはあるのだが、結局のところ「要は気持ちの問題でしょ?」的印象は、かつて整形外科で「も
うやることが無い。」と言われたときと同じような、どうすりゃいいの?的感情が沸いてきてしまう。
やはりTMS理論同様、脳が誤作動する前の、痛みがループする前の、何か痛みに直結する、あるいは痛みの初動たる要因が何処かにあるのではないかという疑問は拭えな
い。
事実、大手通販サイトの読者レビューを覗いてみると、大絶賛の嵐の中、著者の腰痛が何度か再発し、都度同様の治療法で快癒に向かっているという記述も見られる。
ということは、やはり根本的な要因を叩かない限り完治とは言えないのではないか?
さて、あまり天の邪鬼な事を言っていると治るものも治らなくなるぞという忠告も聞こえてきそうだが、「病は気から」を一から十まで疑ってかかっているわけではない。
文字通り病気の“気”、気持ちの“気”、気分の“気”・・・落ち込んだり高揚したりするのは“気”の問題だし、それが体調に影響するのは経験的に自覚はしている。
この“気”をコントロールして治療する方法に気功というものがある。
ややオカルト臭くて前述の通り苦手な世界なのだが、意外とこれを推す人も多い。
あるとき仕事関係のおばあちゃんから「相談がある。」と呼び出された。
日程を調整してご本人宅のマンションに伺ってみると、是非会わせたい人がいると言う。
一階下の美容系の看板の掛かった部屋に連れて行かれると、一見50代半ばかと思われる女性が出てきた。
聞けば70歳手前ということで、実に若々しい。
暫く世間話をしていると、話題は病院では治らない体調の話や医師の悪口から、徐々に私の腰痛の状態を確認するような話に移っていった。
確かにおばあちゃんには腰痛で眠れないという話をしたことがある。
ちょっと変だな?と警戒していると、「じゃ、上着だけ脱いで、こちらに横になって。」とややきつめの命令口調で指示された。
カーテンを開けると、施術用のベッドがある。
え?え?え?っと呆気にとられていると、おばあちゃんは「とっても効くから。お代は私が払うから。」と・・・。
しまった!だ、騙されたと思ったが、おばあちゃんのメンツを潰すこともできないし、もはや断る雰囲気ではない。
まあ、ひょっとしたらの期待がないわけでもなく、この期に及んで犯されることもなかろうとワイシャツのネクタイを外し、すごすごと俯せになった。
女性は私の身体にそっと触れるように手をかざす。
明確には言わないが、やはり気功術のようだ。
暫く首から背中、腰にかけてあちこち手をかざしていたが、そのうち「ここ、ここが今暖かくなったの、わかる?」とか「だいぶ解れてきたの、感じるでしょ?」と聞いて
くる。
空気を読めば良かったのかもしれないが、ウソをつくのもイヤなので、「う~ん、ちょっとわからないです。」と答えた。
20分ほどで施術は終了し、お茶を飲みながら再び世間話をしたのだが、やはりやや気まずい。
微妙な空気を感じたのは先方も同じようで、帰り際にもし良かったらというような感じで一冊の本を頂いた。
頂いた本は「なぜ、「これ」は健康にいいのか?」(小林弘幸著)だった。
暫く放っておいたが、気が向いたのでパラパラとめくってみると、これがなかなか面白い。
現代はストレス過多で交感神経が過剰に高くなりすぎているので、副交感神経を意識的に高めれば、原因不明の頭痛や不整脈、糖尿病や高血圧の改善も期待できる。
およそあらゆる体調不良は自律神経の乱れにあり、これを上手くコントロールできれば免疫力が上がり健康で質の高い人生を送ることができる・・・という内容。
いわゆる自律神経失調症に警鐘を鳴らす、よくあると言えばよくある本。
ただ個々の事例に、これはっと思わせるものがあった。
例えば、交感神経が過剰に緊張すると血管収縮が起こり、血球破壊が生じ血液がドロドロになってしまう。
その結果血流が悪くなり、末梢血管から細胞へのブドウ糖や酸素の供給不足が起こる。
これって、血流不足による酸素欠乏から腰痛が生ずるというサーノ博士のTMS理論に似ていないだろうか?
そして著者は、血液をドロドロにする=交感神経を過剰に高めてしまう最悪の習慣として「怒り」を挙げるのだ。
更に著者は、副交感神経を高め自律神経を整える方法として、「ゆっくり」することを提唱する。
“ゆっくり呼吸し、ゆっくり動き、ゆっくり生きる”。
とりわけ確実に自律神経をコントロールできるのは呼吸。
ゆっくりとした深い呼吸が副交感神経を刺激し、一瞬にして身体の状態を変えてしまうという。
ゆっくりと1で吸って2で吐き、それに合わせてゆっくりと動く。
運動はジョギングよりウォーキング。
通勤時に空を見上げ、自然の移ろいを感じる。
これって“就寝前や休憩時に趣味を楽しむ姿を”、通勤途中に“楽しい家庭に戻る光景を”イメージするという認知行動療法に似ていないだろうか?
そして著者は、ヨガが健康にいいのはこの深い呼吸が基本にあるからだと主張する。
いくつかの腰痛関係の書籍で心に引っかかっていた何かが、ストレスから来る自律神経の乱れ・・・という一本の線で繋がったような気がした。
「ヒーリング・バックペイン」にしても「腰痛は脳の勘違いだった」にしても、読み方が浅い、読解力が無いとお叱りを受けるかもしれない。
ストレスの話は両書籍にもそれなりに記述があるのであり、あれこれ文句言ったあげくが結局それかよという声には返す言葉もないが、母の入院から始まった急激な
ストレスから来る交感神経の過剰な緊張と、それに起因する血流不足・酸素欠乏から来る五十肩・腰痛。
この流れは、睡眠不足により理解力が落ちたこの頭には、最も説得力を持つ説ではあった・・・のだが・・・。
2016.05.15
“ゆっくり呼吸し、ゆっくり動く”という発想は、母の介護が始まってから全く無かった。
あたふたと東京-静岡間を行き来し、あちこち手続きに動き回り、水飲み鳥のように頭を下げながら仕事をこなす。
そんな生活が続いていて、ゆっくりする余裕すらなかった事に気がつく。
意識してゆっくり呼吸し、時間を作って玉川の河川敷をゆっくりと景色を眺め、川面を渡る風を感じながら歩くのは、確かにささくれた心を和ませてくれるには十分
ではあったが、残念ながらそれだけで腰痛が緩和するわけもない。
相変わらず就寝時はギリギリと痛み、安穏と眠れる状態ではない。
しかしのんびりと散歩しながらこれまでの腰痛対策をつらつら考えて辿り着くキーワード、“筋肉の凝り・炎症”。
これこそが痛みが発症する根本的原因、痛みのループのスタートラインなのではないか?
ストレッチやヨガの効用は、固まった筋肉を伸ばし、凝りを取り、更に筋力をつける事にある。
サーノ博士のTMS理論(緊張性筋炎症候群)や自律神経の乱れによる細胞への血流不足・酸素欠乏は、筋肉の炎症を引き起こす事を示唆している。
腰痛というとまず頭に浮かぶ椎間板ヘルニア・脊柱管狭窄といった老化による背骨の形質的変化とは全く異なる考え方。
固まった筋肉の凝りをほぐし、炎症を解消する・・・これは確かに鎮痛剤を処方するしか手段を持たない整形外科ではなかなか出ては来ない発想だろう。
ストレスや緊張で頑固に固まった筋肉を柔らかく解きほぐす・・・ゆっくり生きる、かつ痛みから解放される基本ではないだろうか?
様々な腰痛対策の書籍はほとんどネット通販で購入しており、中にはダウンロードというなかなかに近代的な方法で買った物もある。
それでも本屋があれば健康関連コーナーに向かい、無意識に腰痛関連の本を散策してしまう。
ある日、ふらっと入った本屋で目に付いた真っ赤な表紙の雑誌。
“新説 トリガーポイントが効く!”とサブタイトルが付いた雑誌の名は「Tarzan」(マガジンハウス社)。
筋トレやダイエットの特集で有名な(というより、そればっかりやっている)あの雑誌だ。
普段なら見向きもしないが、腰痛に苦しむ身としては“効く”という言葉には反射的に反応してしまう。
パラッと立ち読みすると、そこそこ興味深いことが書かれている。
「痛いところ=原因とは限らない、トリガーポイントの謎。」
「筋肉の痛みの何と7割は、痛い場所と原因になる場所が違う。」
つまり痛い場所を揉んでも叩いても7割は効果が無いということだ。
では痛みの原因たる場所はどこにあるのか?というと、一部例外はあるものの、やはり痛みを発している場所に近いところにあるのだという。
ふ~んと思いながら、まぁ数百円程度の雑誌ということで購入。
家に帰って読んでみると、値段を超えた内容にグッと引き込まれた。
まず上述の通り、痛む場所=トリガーポイントではないという点。
そして痛みの原因として、筋肉自体が痛みに対し鈍感である事から来る脳の勘違い、交感神経が優位になることによる抗重力筋という筋肉の硬結、緊張が持続するこ
とによる筋膜の伸縮性の欠如等を挙げる。
何のことはないこれまで読破してきた書籍の要点のほとんどが旨いことまとめられている。
後はいつもの「Tarzan」らしい、痛む箇所に応じた有り体のストレッチが書かれているのだが、その特集の終わりにトリガーポイントを治療する治療院・整骨
院が紹介されており、その中に自宅から歩いて10分の治療院があった。
雑誌の内容に感心したこともあり、即座に予約を入れ、治療を受けることにした。
治療は鍼が中心だった。
ザックリとこれまでの経緯を話し、治療開始。
足や腰を曲げながらポイントを探り、痛む箇所よりやや上に鍼を打っていく。
鍼治療は初めてではないが、かなり深い部分まで鍼を入れる。
これまで受けた鍼治療より、ずしんとした重みのある鍼だ。
2~3箇所、場所を変えて鍼を打ち、10~15分放置。
小一時間で治療は終了した。
確かに痛みは軽くなったが、まだ重みが残っている。
こんなもんかな?と思いながら帰宅し、夜寝る時になって驚いた。
痛みが全く無い!ウソのように無い!
何と一回の治療で、あれだけ苦しんだ腰痛が治ってしまった。
鎮痛剤・セレコックスが効いていたとき以来、約半年ぶりに訪れた安眠の日々。
嬉しかった。本当に嬉しかった。
先生からはやはりストレッチと筋トレ、特に腰方形筋という筋肉のストレッチを推奨された。
あまり痛くない程度に、しかし伸ばした状態を最低30秒持続するようアドバイスを受け、雑誌を読み返し、いくつかのストレッチを続けてみること1~2ヶ月、母が
介護施設でまた問題を起こした。
80歳を超える母は、当たり前だが古いタイプの人間だ。
施設の職員、特に気に入った人にお礼と称してお金を渡していた。
その出所はというと、親戚に自宅の通帳のしまってある場所を教え、キャッシュカードで下ろさせていた。
迂闊だった。
通帳を確認すれば、約3ヶ月の内に20万円弱が下ろされている。
そもそも本人の財産故、どう使おうと勝手ではあるが、さすがにこれは多額に過ぎる。
施設に話したところ、施設長初め深々と謝罪されてしまったが、誰かもわからない懐に入ってしまったものは追求のしようがないし、元より悪いのはこちら。
お互い頭を下げ合う状態となってしまった。
返す刀で親戚に連絡。
何を言われても通帳に手をつけないようにお願いした。
お金の問題は慎重の上に慎重になっても足りるものではない。
悪く取ればいくらでも悪く取られてしまう。
「私は取ってない!」という見当外れな反応もあったが、2度3度と懇切丁寧に説明。
わかってもらえたかどうかは不明だが、とりあえずお金に関しては一切手を引くようにお願いした。
「私の金を使わせない気か?」という母の言葉を無視して、とりあえず片をつけたところで腰痛が再発した。
明らかにストレスから来る再発である事は疑問の余地は無いように思うが、因果関係はわからない。
今度の痛みは、痛み始めのようにジンジン痺れるようなものでも、悪化したときのようなギリギリとしたものでもなく、腰の奥にどんより居座るような痛みだった。
痛みの種類が違えど、やはり寝られない。
早々に治療院を訪れ、再度施術を受けた。
先生からは「だいぶ柔らかくなっていますね。」とお褒めの言葉を頂いたが、残念ながら痛みはやや軽くなった程度で、前回のようにスッキリ消えることは無かった。
その後2回ほど通ってはみたが、結果は変わらなかった。
もちろん先生が悪いわけではないが、相当に信用し、入れ込んでいた治療院だったため、完治しない失望感も大きかった。
しかしながら、“痛む場所とは異なるトリガーポイントを見極め、緩める”という、得がたい情報を教えてくれた貴重な経験ではあった。
高齢化社会のせいか、テレビでは健康番組が花盛りである。
腰痛が取り上げられることもしばしばではあるが、やはりどうも椎間板ヘルニア・脊柱管狭窄や、決まり切ったストレッチによる対策がほとんどだ。
ある晩、最近解散騒動で話題となったアイドルグループのリーダーが司会を務める週末のバラエティ番組で肩凝り・腰痛対策が取り上げられていた。
ゲストとして出てきた松村卓という方は、スポーツトレーナーで多くのアスリートの指導をされているそうだ。
自身も短距離スプリンターだった方で、現役当時ケガに泣いた経験から筋力をアップするより、硬化した部分をほぐし体を動かすコツをつかめば、パフォーマンスが
上がるだけでなく、様々な痛みから解放されダイエットにも効果的という夢のようなメゾット。
その名も“骨ストレッチ”。
古武術から学んだという骨の動きを重視したストレッチ法で、基本は片方の手の親指と小指の先端をつけてループを作り、その腕の手首辺りをもう一方の手の、やは
この基本ポーズのままあっちへ伸ばしたりこっちへ回したりすることで、無駄な力が入ることなくなめらかな身体の動きが実現できるというものだ。
リーダーN氏は、言われるままに身体を動かしながら「あ、これ本物だ。」とボソッと言う。
ウソ臭いことこの上ないが、バラエティ番組にヤボを言ってはいけない。
普段は聞き流すことが多いのだが、明日は休日という余裕もあったせいか、気まぐれに少しまねをして動かしてみた。
腰痛に関しては基本ポーズのまま、腕を上に伸ばすように椅子から立ったり座ったりを7回繰り返すだけ。
実際にやってみると・・・あれ?あれあれ?
寝ているときほどではないのだが、立ったり座ったりしているときも全く無いわけではない腰の痛みが、この動きでスッと消えるではないか。
そんなバカなと思うのだが、実際に痛みが消えている。
暫くするとまた痛みが戻ってくるのだが、再度同じ動きをすると、やはり痛みは消える。
これはちょっとビックリ。
早々にネットでポチリ、「ゆるめる力 骨ストレッチ」(松村卓著)を購入。
内容は上述の通り骨の動きを重視し、筋トレや通常のストレッチで身体を固めてしまうのではなく、とにかく柔らかくゆるめることを説いている。
何種類もの骨ストレッチの方法が書いてあり、なるほどと思うものもあれば、これはさすがに?というものもある。
ただ腰痛に関しては、疑いようもなく効いている。
何日かこの骨ストレッチを続け、「おぉ、消える消える。」と面白がっていたが、もちろん寝ながらこの動きができるはずもなく、相変わらず睡眠不足が続いてい
たある夜、「さぁ、そろそろ寝るか。今宵も不快な夜である事よ。」と立ち上がった瞬間、腰がグラっと動き、“グキッ”とも“ゴキッ”とも言えないような大きな音を
立てて鳴った。
“すわっ!ぎっくり腰か?!”と身構えたが、特に痛みが襲ってくるわけでもない。
それどころか、おそるおそる横になっても痛くない。
なんと!そのまま痛みは全く無くなってしまった!
再々度訪れた安眠の日々。
周囲の人にも勧めてみたが、ガスター10同様、あまり相手にされなかった。
よほど信用がないのか、嫌われているのか、反省以上に落ち込んでしまったが、まぁそれは別の話。
再度「ゆるめる力 骨ストレッチ」を読み返し、疑問の残るストレッチも含め様々な骨ストレッチを繰り返してみた。
やはり腰痛以上に明確に効果のあるものはなかったが、何せ簡単にいつでもできるストレッチは、まとまった時間も場所も必要無く、続けやすいのも高ポイント。
気の向くまま思いつくまま、骨ストレッチを継続して1~2ヶ月。
じんわりと痛みは蘇ってきた。
回数を増やしたり違うストレッチを試してみたり、あれこれ試行錯誤してみたが、色よい結果は得られなかった。
しかし、希望にも似た期待は確信に変わった。
トリガーポイント治療と骨ストレッチ。
「Tarzan」にはもう一つ面白いワードがあった。
“筋膜の伸縮性の欠如”というヤツだ。
筋膜とは身体全体をボディスーツのように覆う膜で、第二の骨格と呼ばれているそうだ。
エラスチンとコラーゲンという2種類のタンパク質で構成されており、ガーゼのように縦横に織り込まれて膜を作っている。
詳細は専門書に譲るとして、簡単に言えばお笑い芸人が着る全身タイツみたいなものだろう。
この2つのタンパク質が何らかの原因で絡まり、よじれ、伸縮性が失われると、1枚のボディスーツ(というか全身タイツ)の一部分が引っ張られることになり、こ
こがトリガーポイントとなって、引っ張られた先の、別の場所に痛みが発生する・・・というメカニズムだ。
早速、いつもの通販サイトで「1日1分
筋膜リリース -痛みとこりがラクになる-」(滝澤幸一著)を購入。
この本では、筋膜をフロント・バック・サイド・インナー・アームという5つの部分に分け、それぞれの筋膜をほぐす(リリース)方法が書かれている。
筋膜をリリースすると、凝りや痛み・疲労や冷え・血流を改善し、自律神経の乱れを調整し、免疫力をアップする・・・と、いいことだらけ。
まぁ、セールス・トークもあるだろうから、過大な期待はやめておいた方がいい。
基本的なリリース法は、テニスボールやストレッチポールを使い、筋膜をゆっくり圧迫して伸ばすという方法。
この方法で5つに分けられた筋膜のうち、痛む部分に対して効果がありそうな部分(トリガーポイント)の筋膜をリリースしていく。
問題は、上述のように痛む部分とは違う部分にトリガーポイントがあるということ。
筋膜連鎖という筋膜の繋がりの上にあるため、予想はある程度できても特定できないということだ。
極端に言えば、腕の筋膜が絡まっていることにより腰痛が発生することもあるワケだ。
とりあえずテニスボールとストレッチポールを追加購入して、腰痛に効くと書かれているリリース法を中心に、5つの全ての筋膜をリリースする、所謂基本のリリ
ース法を試してみた。
“ゆっくり圧迫して伸ばす”というのは、言うほど簡単ではない。
「痛いほど押してはダメ。」と言われても、どうしてもグッと押しつけたくなってしまう。
しかし痛いほど押しつけると、更に筋膜がゴチャゴチャに絡まり合い、逆効果になるという。
悪戦苦闘しながら約一月。
力の抜き方を覚えてきて、押して伸ばす・・・という感じが何となく分かってきた。
何とかそれらしいやり方になってきたと思うのだが、本で読んでいるだけなのでこれでいいのかはよくわからない。
しかしながら、これだ!という手応えはないものの、何だかいいような気がする。
ゆっくりゆっくりやっていると、腰痛対策と基本リリース法で小一時間経ってしまうので、これまでやってきた腰痛対策はどうしても疎かになる。
骨ストレッチやゆっくりとした呼吸のような普段簡単にできるものはともかく、特にヨガの動きはほとんどしなくなってしまった。
ヨガやらなくていいのかな?という懸念を頭の片隅に残しながら筋膜リリースを続ける内に、ほんの少しずつではあるが腰の奥の痛みが軽くなってきた。
これまでの腰痛対策のように劇的に痛みが遠のくということはないが、確かに痛みは軽減されている。
もう一つインパクトに欠けるが、どうかすると夜もスッと寝付ける日が出てきた。
そのまま続ければ良かったのかもしれないのだが、ここで痛恨のミスを犯してしまうことになる。
筋膜リリース法は一定の効果はあったが、快癒というにはもう一つ。
腰の奥の方にある重みにもう一歩、という感じだ。
このもう一歩を詰めるには、やはりその腰の奥の深いところに直接アクセスするしかないのではないか?
しかし、通常のストレッチではまた元の木阿弥になりかねない。
そこに飛び込んできたキャッチ・コピー、“ただ伸ばすだけのストレッチは逆効果だった!?”。
この悪魔の囁きようなフレーズが帯に書かれた書籍は「一瞬で身体が柔らかくなる動的ストレッチ」(矢部亨著)。
通常のストレッチ(静的ストレッチ)が筋肉を伸ばした状態をキープするのに対し、動的ストレッチは文字通り、動かしながらストレッチをかける方法だ。
静的ストレッチでは、ややもすると伸ばし過ぎることで「伸張反射」というメカニズムにより筋肉が縮んでしまうのだが、動的ストレッチでは「主動筋」と「拮抗筋」の
相反関係を利用した「相反神経支配」という仕組みを利用し、動かしながら筋肉を柔らかくしていく。
説明は難しいが身近な例では、メジャーリーグに渡ったイチローが練習前に四股を踏むような格好で身体を左右に振るような動きが股関節まわりの動的ストレッチ。
同じくメジャーリーガーの前田健太が、やはり練習前に肩関節をグルグル振り回す動き、これが肩関節まわりの動的ストレッチということのようだ。
もちろん静的だろうが動的だろうが、やり過ぎは禁物(らしい)。
しかしながら、静的は逆効果、動的は一瞬で柔らかくなる・・・という謳い文句に釣られ、「腰のハリをほぐす動的ストレッチ」というのをやってみた。
やり方はさほど難しくはない。
静的ストレッチでも腰に効くといういくつかのポーズを取って、前後左右斜めに身体を揺らすだけ。
確かに伸ばすだけの静的ストレッチより、動かす分だけ腰の奥の方に届いている感じがする。
そして一瞬で・・・痛みが蘇った。
やり方が悪かったのかもしれない。
やり過ぎたのかもしれない。
いずれにしても重みにも似た痛みは腰全体に広がり、奥の方では石のような塊が居座ってしまった。
もちろんこれも、動的ストレッチやこの著者が悪いわけではない。
読んでみればわかるが、この本はどちらかというと“ウォーミングアップで身体を柔らかくするには静的ストレッチより動的ストレッチですよ”ということが主眼と
なっており、腰痛やら肩凝りといったあたりは、言葉は悪いが付け足しのように書いてあるだけ。
つまり運動する際、ケガをしないために身体を柔らかくするメゾットであり、既に痛みが出ている筋肉や筋膜の解消法とはやや趣が違っていたのだ。
蘇った腰の重苦しい痛みはもちろん、何よりその奥の塊が不快だった。
腰骨と胃の間くらい、たぶん脊柱起立筋のかなり下の方に、まるで異物を入れたかのように凝りがある。
まさにトリガーポイント。
これを何とかしたいとすがりついたのが、「誰でもできるトリガーポイントの探し方・治し方」(Clair
Davies/Amber Davies著・大谷素明監訳)。
この本ではテニスボールやセラ・ケインという器具を使ってトリガーポイントを直接圧迫しマッサージする方法が書かれている。
かなり詳細に筋肉やそこに発症する症例について書かれた専門書といっていいだろう。
治し方としてはリリースと言うより、どちらかというと従来のマッサージの方法を踏襲している。
早々にテニスボールを床に置き、その上に寝そべって腰の奥の塊に向かってグリグリと押し当ててみた。
直接凝りにアクセスするのは手応えが有り、満足度が高い。
グリグリしている間は痛気持ちよく、いかにも効いているような感覚に陥る。
しかしながら終わってみると塊は熱を持ったように更に固く疼く。
残念ながらこの方法は塊を更に固くするだけで、解してはくれない。
気がついてみればリリースとは真逆の方向に走っていることを察するのに、そう時間はかからなかった。
同じ轍を踏むものかと思いながら、巡り巡って元の場所に戻ってしまっていたのだった。
後悔先に立たず・・・。
自分のバカさ加減にあきれながら、再度骨ストレッチや筋膜リリースを丹念に続ける内に塊は少~し遠のいたが、もちろん完治はしないし、快眠できる夜もほぼなく
なってしまった。
ちょっと打つ手がないな・・・。
思案に暮れ、「リリース・・・リリース・・・。」と呪文のように唱えながら街を歩くと、今まで気がつかなかったが、リリースという言葉が記された看板が目に入ってきた。
一つは“せたがやリリースヨガ”、もう一つが“二子玉
カイロプラクティック ライフプラス”。
せたがやリリースヨガは、内科・神経内科に勤める看護師さんが自らの体験を基に月数回、少人数で開催しているヨガクラス。
いくつかあるコースの中に筋膜の癒着や変形を改善するリリースヨガというコースがある。
この頃、筋トレに懲りて全く行かなくなっていた以前のヨガと違い、リリースを主眼に置いていて実に魅力的だ。
早々にプライベート・レッスンを申し込んで行ってみた。
インストラクターは若いお嬢さん。
室内で面と向かうのは少々照れくさいが、男と二人でやるよりマシか・・・。
ヨガの内容としては、ポーズ自体は以前のものとさほど変わらない。
しかし、一応これまでの経緯をザッと話してあるので、あまり無理なストレッチはせずに、緩めるようにゆったり進めていく。
それでも初回はもみ返しのような痛みが襲ってきたが、2回、3回と続ける内に慣れてきたのか、レッスンが終わった後もいい感じでいられるようになってきた。
二子玉 カイロプラクティック ライフプラスは、文字通りカイロプラクティックの治療院で、いくつかあるメニューの中に“グラストンテクニック(訳すとそのまま
筋膜リリースらしい)”という施術法があり、金属製の器具で筋膜を柔らかくし、解放していくらしい。
ちなみにこのグラストンテクニックを行うには厳しい資格が必要で、日本国内には有資格者は400名程度しかいないということだ。
こちらも筋膜に直接アプローチする施術ということで、やはり食指が動く。
早々に予約を入れて行ってみた。
院長はオーストラリア公認のカイロプラクティック理学士の資格を持っているという。見た目はいかにもスポーツマンといった感じで、サッカー日本代表の槙野にや
や似ているか?
簡単な問診の後、施術スタート。
あちこち伸ばしたりちぢめたりした後、金属のヘラのようなものを腰のあたりに当てて、ゆっくりと引き延ばすように動かしていく。
これがグラストンテクニックというものか?
この他、ニューロオリキュロセラピーという、耳の中の脳神経の反射ポイントを微弱な電流で刺激するという施術も行われた。
どちらも、コレ!という感触は得られなかったが、それでも施術後はかなりな痛みが襲ってきた。
そのことを話すと、2回目以降はグラストンテクニックもニューロオリキュロセラピーも中止し、柔らかくストレッチする施術に変わっていった。
どちらかが効いたのかもしれない。
どちらも効いたのかもしれない。
どちらも前回の後はどうなったのか状況を聞き、微調整しながら進め、2度3度と通う内に、腰の奥の熱い塊は消えていった。
やはり完全に痛みが消滅したわけではないが、それでも毎晩、苦しまずに寝付けるようになり、夜中に1~2度は腰の違和感で起きることもあるが、ほぼ一気通貫で
朝まで眠ることができるようになった。
もちろん、自宅でも過激なストレッチやマッサージは止め、youtubeにアップされている動画を見ながら無理のないヨガをやるようにしてみた。
それも毎晩々々、強迫観念に駆られて義務のように続けるのは止めて、2日に一回くらいのペースに落とし、違和感や重みを感じ、調子が良くないときは、強めにス
トレッチしたくなる気持ちをグッと抑え、休むようにした。
リリースという言葉に翻弄されて、試行錯誤というより紆余曲折のあげく、ようやくよく言われる“痛気持ちいい”加減が掴めてきたような2016年の半ばであった。
そろそろまとめに入ります。